着物は、相手から見て衿がかぶさる、
左前
右前
の着方があります。
一般的な着物の着方の衿は、
右前
となりますが、亡くなった方に着物を着せる場合、
左前
に着せることになります。
なぜなのでしょうか?
そこでこの記事では、亡くなった人の着物の着せ方が、『左前』なのかその理由について紹介していきます。
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亡くなった人の着物の着せ方|左前?右前?死装束の正しい着せ方とその理由
亡くなった人に着せる『死装束』は、
衿が左前
となります。
この『左前』とは、相手から見て左側の衿が、右側の衿の上にかぶさる着方です。
そして、『右前』・『左前』の前とは、先という意味があります。
つまり、『左前』は左側の身頃から、先に体に合わせる着方となる訳です。
なぜ死装束は左前に着せるのか?
亡くなった人に着せる『死装束』を、衿が『左前』に着せる理由を紹介しましょう。
死後の世界は現世と真逆
左前は右前よりも格が高い
生きている人と故人を区別するため
という上記の説が有力とされています。
人が亡くなるという事は、非日常のことのため、
逆さ事(さかさごと)
として、日常生活で行う事とは逆のことを行います。
そのため、日常生活の着物の『右前』ではなく、
左前
に着せるという考え方が一般的には知られています。
また、『左前』を尊いとする考え方もあります。
日本では西暦719年の「右衽(みぎまえ)の令」以降、右前が一般的になりました。
そして、高貴な人が『左前』、その他の人は右前で着ていた時期があるという説から、故人は神仏に近い尊い存在として、死装束を左前にしたとも言われています。
次に、奪衣婆(だついば)という考え方もあります。
仏教の教えで、三途の川を渡ると、まず出会うとされているのが奪衣婆です。
奪衣婆は故人から衣服を剥ぎ取り、懸衣翁(けんえおう)に渡し、衣服を枝に掛けさせ、枝のしなり具合から衣服の重さを測って、生前の盗みについて裁くとされています。
『左前』で着せることで、奪衣婆に衣服を取られないようにする、おまじないであるという説もあるのです。
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着物の一般的な着方右前について
付属する知識として、着物の右前についても紹介しておきます。
右前が一般的な着方となった理由としては、以下のような考え方があります。
「前」という言葉には「先」という意味があり、「右前」は右手に持った身頃を先に合わせると覚えられる
右利きの人が多く、懐に右手を入れやすくするために、右前になった
心臓のある左側をガードするように、先に右衿を当てる
男性の着方も右前なのか?
日常的に来ている洋服では、男性ものと女性ものの身頃の合わせは異なります。
では、着物や浴衣の場合はどうなのでしょうか?
結論から言えば、和服は男女とも合わせ方は同じ『右前』です。
着物はもちろん、浴衣も同じく『右前』となります。
着物の右前・左前の忘れない覚え方
現在、着物は日常的に着るものではなくなりました。
そのため、『右前』・『左前』どちらが正しい着方なのか忘れてしまうことでしょう。
まず、『右前』・『左前』に関しては、
生きている人 ⇒ 右前
亡くなった人 ⇒ 左前
と覚えておきましょう。
そして、一般的な『右前』の覚え方としては、
右手が懐に入れられる
右側の身頃から先に体に合わせる
が、一番分かりやすいのではないでしょうか。
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まとめ
今回は、亡くなった人の着物の着せ方が、『左前』なのかその理由について紹介しました。
亡くなった人に着せる『死装束』は、
左前
に着せます。
言われには所説ありますが、人が亡くなることは非日常の事なため、
逆さ事
として、日常的な『右前』の着方とは逆の着方をするという考え方が一般的でしょう。
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