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執筆者の写真橙縁社公式

遺体に寄り添いドライアイスで二酸化炭素中毒のおそれ|死亡事故も起きている現状


葬儀業界では度々話題にあがり、最近またメディアで触れられている内容があります。

それが、遺体『安置』中の、

  • ドライアイスによる死亡事故

なんです。




人が亡くなると、『葬儀』や『火葬』までの期間、

  • 自宅

  • 葬儀社の霊安室

『安置』され、腐敗を防ぐにために『ドライアイス』を体にあてます。




『ドライアイス』は、二酸化炭素に気化して無くなってしまうため、

  • 1日10㎏ずつ

腐敗防止のために使用し、『安置』の日数に応じて、使用する量は倍々に増えていきます。




また、二酸化炭素は空気よりも重いため、滞留してしまう可能性があり、故人に寄り添って就寝してしまうと、二酸化炭素中毒の恐れもあるのです。

そのため葬儀社は、『安置』状況に応じて遺族に注意を促す訳です。




ですが、実際現実的に死亡事故が発生してしまいました。




そこでこの記事では、『ドライアイス』中毒による事故を防止するためにも、葬儀社の立場から『ドライアイス』の知識や使用方法、注意点について紹介していきます。



 

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遺体に寄り添いドライアイスで二酸化炭素中毒のおそれ|死亡事故も起きている現状



ドライアイス』が気化した二酸化炭素を吸い込んで、中毒死したとされる事故が、

  • 2018年以降の5年間で4件発生

したことが、全日本葬祭業協同組合連合会(東京・全葬連)より報告されています。




4件の内訳は、

  • 住宅    ⇨ 2軒(18年、20年)

  • 霊安室施設 ⇨ 2軒(21年)

となっており、いずれも棺に納められた遺体に、寄り添うなどしていたそうです。



*引用元:読売新聞オンライン



また、消費者庁によると

  • 令和2~3年 ⇨ 全国で3件の死亡事故

が起きているとの報告もあります。



*引用元:NHK NEWS WEB



やはり消費者庁の報告でも、亡くなった方は棺の近くや、棺に顔を入れた状態で発見されています。

そのため、故人とのお別れの際に、棺に顔を入れない様、注意が呼びかけられています。



 

なぜドライアイスでの死亡事故が起きてしまうのか?



では、死亡事故の原因は何なのでしょうか?




まずドライアイス』は、二酸化炭素を冷却し、凝固させたものです。

そして、常温で気化し、二酸化炭素に戻ります。




この二酸化炭素は、大量に吸い込むことで、人体に影響を及ぼします。

また、人は呼吸によって二酸化炭素を排出しますが、

  • 二酸化炭素濃度が高いと排出できなくなる

ため、中毒症状を起こすのです。




消費者庁によると、空気中に含まれる二酸化炭素の濃度は約0.03%程度だそうです。

そして、空気中の二酸化炭素の濃度が高くなるごとに、

  • 濃度3%  ⇨ 呼吸困難、めまい

  • 8~10%  ⇨ 激しい頭痛、視覚障害、耳鳴り

  • 30%以上  ⇨ すぐに意識が消失

となるそうで、8~10%の濃度でも、5~10分で意識がなくなるとの事。




更には、二酸化炭素の濃度が10%以上で意識を失い、1分程で死に至るとの報告も。



 

棺で安置中に二酸化炭素中毒になってしまう原因とは?



『葬儀』や『火葬』までを待つ期間、

  • 1日10㎏

の『ドライアイス』を使用し、遺体の腐敗を防ぎます。




そして、火葬場の混雑状況によって異なりますが、

  • 通常  ⇨ 2~4日

  • 繁忙期 ⇨ 5日~1週間

は、待ちの期間があり、ドライアイスの量で言えば、

  • 通常  ⇨ 20~40㎏

  • 繁忙期 ⇨ 50~70㎏

を使用します。




また、遺体を棺に納めた後、保冷効果を高めるためにも、棺の蓋は閉めておきます。

結果、『ドライアイス』は空気よりも重いため、棺の中は二酸化炭素が充満している状態になる訳です。




大切な人を亡くした訳ですし、少しでも顔を見て、直接体に触れたい気持ちは当然です。

しかし、棺の中は二酸化炭素が充満しており、棺を覗き込む状態になれば、濃度の高い二酸化炭素を吸い込んでしまいます。




国民生活センターで、棺にドライアイスを10㎏入れて、二酸化炭素の濃度を測る実験が行われました。

実験の結果、棺の蓋を閉めた状態では、急激に二酸化炭素の濃度が上昇し、

  • 20分後  ⇨ 濃度30%越え

  • 4時間後 ⇨ 約90%まで上昇

になってしまうとの報告です。




先程説明したように、二酸化炭素の濃度が30%を超えると、

  • すぐに意識が消失

すると言われています。

危険性が十分に分かる内容です。




また、棺の蓋を開けることで、二酸化炭素の濃度は徐々に低下しますが、

  • 50分後 ⇨ 30%以上の濃度

という報告があり、蓋を開けたから安心という訳ではないのです。




できるだけ最後の時まで、『顔を近くで見ていたい』そんな故人に対する想いの強さが、皮肉にも二酸化炭素中毒の原因となってしまうのです。



 

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二酸化炭素中毒にならないための注意点は?



大切な人と、できる限り近き、最後の瞬間まで時間を過ごしたい。

と想う方達に、二酸化炭素中毒の恐れがあるため、棺には極力近づかないで下さいとは言えません。




しかし葬儀社としては、命の危険性があることは確かなため、注意を促さなくてはなりません。




できる対策としては、

  • 棺の蓋を開けたら、換気を十分に行う

  • 棺に顔を入れたり、のぞき込まない

  • 体に触れる場合は、棺より外側から

といったところでしょうか。




また、もしも少しでも頭痛や呼吸が苦しく感じた場合、すぐに棺から離れるようにして下さい。

何かあった時のため、棺の蓋を開ける時は、一人ではなく複数人で立会うことも、事故を未然に防ぐ対策となります。




遺族の想いや希望を叶える対策ではありませんが、人の命に危険性があるため、上記の対策が葬儀社としてとれる方法となります。



 

まとめ



今回は、『ドライアイス』中毒による事故を防止するためにも、葬儀社の立場から『ドライアイス』の知識や使用方法、注意点について紹介しました。




大切な人が亡くなり、『最後の瞬間まで近くで寄り添いたい』という気持ちが、ドライアイスによる死亡事故の原因です。

皮肉なものです。




しかし、ドライアイスが気化して発生する二酸化炭素は、危険な上に目で見ることができません。

また、二酸化炭素の濃度が高くなるほど、その危険性が増し、最悪死に至ります。




一瞬にして意識を失う二酸化炭素の濃度が、

  • 30%以上

と言われていますが、棺の中の濃度は、

  • ドライアイスを入れて20分

  • 蓋を開けてから50分後まで

との報告があり、もしそのまま意識を失い、更に二酸化炭素を吸引してしまうと、

  • 1分程で命を失う

危険性があるのです。




大切な人との別れを惜しむ気持ちは、十分に分かります。

ですが、危険性を理解した上で、最後の時間を過ごして欲しいと考えます。



 

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