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仏教における宗派とは?|宗旨・宗派の違いや葬儀の特徴・開祖・教えなど意味を解説

  • 執筆者の写真: 橙縁社公式
    橙縁社公式
  • 6月26日
  • 読了時間: 12分

アンケート調査で日本人が信仰する宗教は、

  • 仏教     ⇒ 31%

  • 神道(神社) ⇒ 3%

  • キリスト教  ⇒ 1%

  • 信仰なし   ⇒ 62%

というデータが発表されています。




そして、日本の葬儀の8割以上は、

  • 仏式(仏教)

で行われおり、葬式=仏教のイメージが強いことでしょう。




この日本人にとって馴染みが深い『仏教』ですが、多くの『宗派』があることはご存じでしょうか?

葬儀や法事など、寺院に弔事を依頼することが多くなりますが、『宗派』によって特徴や考え方、教えが異なるため、自分の家の『宗派』は知っておく必要があります。




そこでこの記事では、『仏教』の『宗派』や教えの違いなどについて紹介していきます。




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仏教における宗派とは?|宗旨・宗派の違いや葬儀の特徴・開祖・教えなど意味を解説


寺院

『仏教』には多くの『宗派』があり、古くからある伝統的な『仏教』だけでも、

  • 十三宗五十六派

が存在しています。




なぜ同じ『仏教』なのに、数多くの宗派が存在することに、疑問を感じる人も多いことでしょう。




『仏教』はインドが発祥の地です。

インド発祥の『仏教』は約2500年前頃、ブッダが開き、『宗派』は『仏教』から派生した分派のことを言います。

そこから、中国や朝鮮半島を経由し、『仏教』は日本に伝わりました。

その過程で、沢山の『宗派』へと分かれたため、同じ『仏教』でも数多くの『宗派』が存在するのです。




宗派とは何か?


合掌する住職

前述した様に『宗派』とは、『仏教』から歴史的な経緯を経て生まれた、分派のことを言います。




ブッダが20歳で出家し、悟りを開き、そこから40年間で説かれた教理が膨大な数に膨れ上がりました。

その説かれた教理の一つ一つが大きくなり、それぞれ分かれたことで『宗派』が生まれました。

そして次第に、同じ『仏教』でも教理や信仰対象、お経や作法などに違いが出てきました。




日本には、538年(一説には552年)に『仏教』が伝来し、聖徳太子が天皇を補佐する摂政になった時、『仏教』が広まったと言われています。

そして、聖徳太子が法隆寺を建立したことで、『仏教』が日本に定着していきました。




平安時代には、空海と最澄の2人の偉大な仏教者が現れ、

  • 空海 ⇒ 真言宗

  • 最澄 ⇒ 天台宗

を生み出しました。




その後、明治維新以降に成立していた「伝統仏教」を指し、明治政府が、

  • 13宗56派

を公認したことに由来しています。




宗旨・宗派を知らないと何か困ることがあるのか?


宗旨、宗派を調べる男性

正直、日常生活において、宗旨・『宗派』が分からなくても、困ることはほとんどありません。

ですが、弔事である、

  • 通夜や葬儀・告別式

  • 法事やお盆・お彼岸

  • お墓

などの事は、宗旨・『宗派』を知らないと話になりません




宗旨・『宗派』を簡単に説明すると、

  • 宗旨 ⇒ 宗教の教えや教養

  • 宗派 ⇒ 各宗教から生じた分派

となりますが、宗旨によって葬式など弔事の意味合いが異なります

そして『宗派』によって、作法や決まり事が異なってくるのです。




つまり、宗旨・『宗派』を知らないと、

  • 葬式を誰に頼めば良いのか分からない

となってしまい、何も決めることができません。

お墓が寺院にあるなど、『檀家』で『菩提寺』があればすぐに分かりますが、『菩提寺』がない方は、事前に宗旨・『宗派』を調べておきましょう。




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仏教の代表的な「13宗」


仏教の13宗について質問する女性

日本の伝統的な仏教には「13宗56派」が存在します。

その「13宗」とは、

  1. 真言宗

  2. 天台宗

  3. 曹洞宗

  4. 臨済宗

  5. 浄土宗

  6. 浄土真宗

  7. 日蓮宗

  8. 法相宗

  9. 律宗

  10. 華厳宗

  11. 時宗

  12. 融通念仏宗

  13. 黄檗宗

のことを指します。




そして「56派」とは、これらの13宗から教義・信仰対象などの違いや、歴史的経緯により生じた56の分派を指します。




現在の葬儀で多い8つの宗旨、宗派の特徴


お墓の前で合掌する女性

現在、日本に伝わった仏教は8つの宗旨とされ、

  1. 真言宗

  2. 天台宗

  3. 曹洞宗

  4. 臨済宗

  5. 浄土宗

  6. 浄土真宗本願寺派

  7. 真宗大谷派

  8. 日蓮宗

ほとんどの仏式の葬儀は、上記の8つの宗旨の葬儀となるでしょう




それぞれの宗旨で、教義・信仰対象や葬儀内容・焼香回数などが異なるため、その特徴を解説していきます。



真言宗の特徴


密教系


  • 開祖 ⇒ 空海(弘法大師)

  • 本尊 ⇒ 大日如来




空海が唐の都「長安」で学んだ密教を基盤とし、平安時代に開いた宗派です。

大日如来を全ての根本と考え、人の心の在り方や価値観などを10の段階に分け、最終的に大日如来と同レベルに達することを説く「十住心思想が基盤となっています。

そして、大日如来の徳性の一部とされている仏や菩薩、明王も祀られています。




また、真言宗は数多くの分派が存在し、「真言陀羅尼宗」や「曼荼羅宗」、「秘密宗」などとも呼ばれています。

故人を密厳浄土(三密の万徳によって荘厳された大日如来の浄土)に送り届けるため、今世で身についた悪い考えや習慣などを葬儀によって浄化し、仏様の加護を得られるように供養します。

経典は、大日経と金剛頂経の2種類あります。



天台宗の特徴


密教系+法華系


  • 開祖 ⇒ 最澄(伝教大師)

  • 本尊 ⇒ お釈迦様、薬師如来など




中国で学んだ最澄により、平安時代初期に日本に伝えられた密教で、大乗仏教の宗派の一つです。

  • 朝  ⇒ 法華経の南無妙法蓮華経

  • 夕方 ⇒ 阿弥陀経の南無阿弥陀仏

を唱える「朝題目夕念仏」という言葉がありますが、『妙法蓮華経(法華経)』を根本仏典としています。

天台宗から多くの日本仏教の宗旨が発展し、本山は比叡山延暦寺です。




正式名称は「天台法華円宗」で、「法華円宗」や「天台法華宗」とも呼ばれています。

仏の教えを顕教(けんぎょう)と密教の2つに分けて考え、

  • 顕教 ⇒ 自分を救い他人を利する

  • 密教 ⇒ 仏と自己の一体を観念し、仏の力で仏の境地に達する

という教えで、故人の罪や穢れを払い、故人や縁者と一緒に仏道に達するという考え方です。

経典は、法華経です。



曹洞宗の特徴


禅宗系


  • 開祖 ⇒ 道元(承陽大師)

  • 本尊 ⇒ 釈迦如来




800年ほど前に、道元禅師によって中国から伝えられた座禅で悟りを開く宗派です。

お釈迦様が座禅の修行に精進し、その結果悟りを開いたことに由来しています。




何も考えず、ただひたすらに黙して座禅に徹する「黙照禅」が行われ、鎌倉時代には地方の武士や一般市民の間で支持されました。



臨済宗の特徴


禅宗系


  • 開祖 ⇒ 栄西(千光法師)

  • 本尊 ⇒ 釈迦牟尼仏、お釈迦様(定めはない)




栄西によって中国から鎌倉時代以降に日本に伝えられ、江戸時代に白隠禅師によって確立しました。

師から弟子へ悟りの伝達「法嗣(はっす)」を重んじ、座禅を組みながら師と弟子が問答を繰り返す「看話禅(かんなぜん)」が有名です。




なお、アニメなどで知られる一休さんは、室町時代に実在した臨済宗の僧侶・一休宗純がモデルとなっています。

鎌倉幕府、室町幕府の時の政権と結び付きが強く、室町文化の形成に多大な影響を与えました。

葬儀は、故人を仏の弟子にするための授戒の儀式と、仏生(言葉による理解を超えたことを理解する能力)に目覚めさせ、仏の世界へと導くための引導の儀式が中心です。




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浄土宗の特徴


浄土系


  • 開祖 ⇒ 法然(円光大師)

  • 本尊 ⇒ 阿弥陀如来




1175年、法然上人が開いた大乗仏教の宗派であり、鎌倉仏教の一つ。

「浄土専念宗」とも呼ばれます。




修行の価値を認めず、修行による成仏を否定し、念仏を唱えることを重要視しています。

南無阿弥陀仏」と念仏を唱え、阿弥陀仏への帰依や感謝を表すと共に、仏の救済を受け、死後は浄土に生まれることができるという教えです。

経典は、「無量寿経」・「観無量寿経」・「阿弥陀経」の3部経。



浄土真宗本願寺派、大谷派の特徴


浄土系


  • 開祖 ⇒ 親鸞(見真大師)

  • 本尊 ⇒ 阿弥陀如来




浄土宗・法然の教えを、親鸞が継承し発展させ、鎌倉時代に開いた『浄土真宗』。

人が求めなくとも阿弥陀様が救って下さる、いずれ仏になることが約束されているから、改めて修行をする必要はないという教えです。

また、仏教で禁止された「肉食妻帯」のほか、「悪人正機」を唱えてもいます。




阿弥陀如来は全ての人々を救うことができる「本願力」(本願が成就し仏と成ったことによって得た力)を持っているとされ、この本願の力によって救われる「他力」(仏・菩薩の加護の力を指す)を説いています。




そして、『浄土真宗』には大きく分けて、

  • 本願寺派

  • 大谷派(東本願寺派)

があり、『大谷派』は『本願寺派』に次ぐ規模の宗派で、戦国時代から江戸時代にかけて分裂した歴史があります。



日蓮宗の特徴


法華系


  • 開祖 ⇒ 日蓮(立正大師)

  • 本尊 ⇒ お釈迦様、大曼荼羅




鎌倉時代中期に日蓮聖人によって開かれた『日蓮宗』。

「本尊」・「題目」・「戒壇」を3大秘法とし、お釈迦様が説かれた法華経を拠り所にして、題目(南無妙法蓮華経)を唱えることが教理となっています。




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13宗の残りの6宗の特徴


宗派の解説をする葬儀社スタッフ

現在、葬儀などで接する機会が多い7宗の解説をさせて頂きました。

ではここからは、他の6宗の特徴について解説していきましょう。


  1. 法相宗

  2. 律宗

  3. 華厳宗

  4. 時宗

  5. 融通念仏宗

  6. 黄檗宗



法相宗(ほっそうしゅう)の特徴


奈良仏教系


  • 開祖 ⇒ 玄奘三蔵(三蔵法師)

  • 本尊 ⇒ 唯識曼荼羅




遣唐使の僧により日本に伝えられました。

長い時間をかけ、段階を経て修行を行う事で成仏に至ると考え、念仏や題目を唱える・坐禅を行うなど、一つの行だけに専念するのではなく、様々な行を推奨しています。

興福寺、薬師寺が本山となっています。


律宗の特徴


奈良仏教系


  • 開祖 ⇒ 鑑真和上

  • 本尊 ⇒ 盧舎那仏




鑑真が日本に伝えた「律宗」。

戒律」を重要とし、自発的に規律を守ろうとする心の働きを指す「戒」と、他律的な規則をさす「律」の研究と実践を主とします。

唐招提寺が本山となっています。


華厳宗の特徴


奈良仏教系


  • 開祖 ⇒ 杜順

  • 本尊 ⇒ 毘盧舎那仏




毘盧舎那仏とは、明るい光を放つ仏で、毘盧舎那仏の光明により、迷っている人々を浄土である華厳世界に導くとされています。

聖武天皇が建立した東大寺(奈良の大仏=盧舎那仏像)は、近代以降は華厳宗を名乗ります。

「華厳経」を経典とし、大乗仏教の中でも哲学的で、独特な教えを持っています。


時宗の特徴


浄土系


  • 開祖 ⇒ 一遍(証誠大師)

  • 本尊 ⇒ 阿弥陀様、南無阿弥陀仏の書




阿弥陀様を信じる信じない問わず、仏の「本願力」は絶対であるため、念仏さえ唱えれば往生できると説かれています。


融通念仏宗の特徴


浄土系


  • 開祖 ⇒ 良忍(聖應大師)

  • 本尊 ⇒ 十一尊天得如来




毎日何度も念仏を唱えることが修行の中心となります。

一人一人の祈りが全ての人の為となり、全ての人の祈りは自分のためになるという教え。

「華厳宗」の影響を受けています。




本尊の「十一尊天得如来」とは、中央に阿弥陀如来、観音菩薩と勢至菩薩を含む11体の奏楽菩薩で構成された、「融通念仏宗」特有の来迎図です。


黄檗宗(おうばくしゅう)の特徴


禅宗系


  • 開祖 ⇒ 隠元(真空大師)

  • 本尊 ⇒ お釈迦様




江戸時代初期に来日した、明末の僧・隠元が開祖の「黄檗宗」。

教義・修行・儀礼・布教などは「臨済宗」と変わらないが、儀式の形式や使われる言葉は、中国の明時代の様式となっています。



まとめ


合掌する住職

今回は、『仏教』の『宗派』や教えの違いなどについて紹介しました。




仏教の宗旨・宗派における「13宗56派」。

その中でも、日本の仏教の代表的な「13宗」について紹介しました。




日常生活において、なかなか意識することが少ないですが、葬儀や弔事においては、宗旨・宗派の考え方の違いを理解しておく必要があります。

不幸事で事前の準備は難しいですが、自分の家の宗旨・宗派は調べ、理解しておきましょう。




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しかし、分からないからこそ、後々トラブルの原因にもなってしまいます。



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 そんな葬儀トラブルを回避するためにも、葬儀の準備は事前に行うことが大切なのです。



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