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執筆者の写真橙縁社公式

神道の葬式/神葬祭とは|仏教との違いや参列の注意点など神式の葬儀である神葬祭・葬場祭について


日本のお葬式は、そのほとんど8割以上が仏式(仏教)で行われます。

そして、次に多い葬儀が、

  • 神式(神道、神社)

での葬儀となっている状況です。




日本で行われる神式の葬儀は、

  • 葬儀全体の約2~3%

と言われており、割合としては決して多くありません。

ですが、日本各地に古くから伝わり、考え方や作法、習慣が根付いているものも多いと言えます。




また近年、質素で落ち着いた雰囲気、儀式としての古風な印象など、改めて『神道』の葬儀に関心が集まっていると言えるでしょう。




しかし、機会の多い仏式の葬儀と違い、『神道』の葬儀は作法や考え方が全く違います。

そのため、葬儀に参列した際にも戸惑うことが多く、基本的な作法は押さえてから、葬儀に参列したいものです。




そこでこの記事では、神式(神道、神社)の葬儀の内容や、仏式との違い、参列した際の注意点など、神道の葬儀について紹介していきます。



 

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神道の葬式/神葬祭とは|仏教との違いや参列の注意点など神式の葬儀である神葬祭・葬場祭について



まず、神道(神社)の葬儀

  • 神葬祭(しんそうさい)

と言います。




そして神道の世界では、亡くなった人は神々の世界に帰り、子孫を見守ると考えられています。

そのため『神葬祭』は、亡くなった方を先祖と共に、守り神として奉ることを目的として行われます。



 

神道の葬儀・神葬祭に参列する時の葬儀マナー



神葬祭』の細かい内容の前に、

  • 自宅弔問

  • 葬儀参列

する際の注意点、葬儀マナーを紹介しておきます。




まず、二礼、二拍手、一礼を覚えておきましょう。




神社に参拝した経験があれば、ご存じの方も多いことでしょう。

  • 二礼  ⇨ 頭を下げて礼を2回

  • 二拍手 ⇨ 手を2回叩く

  • 一礼  ⇨ 礼を1回




上記が、神道の拝礼の作法です。

しかし、葬儀の際は弔事のため、

  • 拍手 ⇨ 忍び手

というように、音を鳴らしませんのでご注意を!!



 

神道は献米や玉串奉奠、仏式は線香や焼香



『神葬祭』の内容や作法は、仏式と大きく異なります。




その中でも行う機会が多く、全く内容が違うものが、

  • 神道 ⇨ 献米(けんまい)、玉串奉奠(たまぐしほうてん)

  • 仏式 ⇨ 線香、焼香

であり、弔問や葬儀に参列した際に戸惑うことでしょう。




細かな作法は、省きますが、

  • 献米   ⇨ 米

  • 玉串奉奠 ⇨ 榊(さかき)の枝に神垂(しで)を結わえたもの

を、故人に対して捧げます。




 

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神道の葬儀である神葬祭の意味



神道の『神葬祭』には、

  • 穢れ(けがれ)

  • 先祖崇拝

大きな2つの意味があります。




穢れ』とは、生命力が減衰した状態です。

そして、悪い状態を『穢れ』と捉え、お祓いををすることで清められるとされています。




そして『先祖崇拝』とは、自分達の祖先が、守り神として一族を守ってくれる存在であるという考え方です。




そのため『神葬祭』を行うことで、

  • 不幸が起きた非日常を祓い清め、不幸が起きていない日常の世界に戻す

  • 故人が祖先様となり霊璽(れいじ)に御霊(みたま)を移し、遺族や親族の一族を守る存在になる

という大きな2つの意味があるのです。



 

神道の葬儀|神葬祭と仏式の葬儀の違い



『神葬祭』は、仏式(仏教)の葬儀と意味合いが異なります

  • 仏教 ⇨ 死者の魂を極楽浄土へ送り出す

  • 神道 ⇨ 死者を先祖と共に守り神として奉る

つまり、死者は神道の儀式を経て神様となり、御神職(宮司、神主)よりも上位に位置づけられるのです。




  • 仏式 ⇨ お寺、寺院

  • 神道 ⇨ 神社

また、仏式の葬儀の場合、お寺の本堂で行われるケースも多くあります。

しかし神道では、人間の死を『穢れ(けがれ)』として考えられるため、神社などの神聖な場所で葬儀を行うことはありません



 

神道の神葬祭と仏式の葬儀の内容比較



『神道』と仏教では、葬儀に対する考え方が大きく異なります。

しかし、葬儀の進行では類似点も多く、仏式と比較しながら解説した方が、皆さんもイメージしやすいことでしょう。




そこで、『神道』と仏式を比較し、葬儀を進行する上で似ている部分を比較して説明します。


仏式(仏教)

神式(神道)

僧侶

神職

喪主

祭主(さいしゅ)

線香、焼香

献米、玉串奉奠

香典(御霊前、ご仏前)

御玉串料、御神前、御神饌料

戒名

諡号(おくりな)、霊名など

供物

神饌物(しんせんぶつ)

位牌

霊璽(れいじ)

御布施

御礼、御玉串料、御祭祀料(みさいし)

忌中払い

直会(なおらい)

法事、法要

霊祭、式年祭

初七日

十日祭

四十九日

五十日祭

一周忌

一年祭



 

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神道の葬儀・神葬祭の流れ



最後に、実際に行われる神葬祭』の流れを説明します。




なお、神道の『神葬祭』には、大きく分けて3つの流れがあります。

  1. 逝去当日

  2. 神葬祭1日目

  3. 神葬祭2日目



 

神道の神葬祭の流れ(1)逝去当日



逝去当日に行うことは、以下の3つになります。

  1. 帰幽報告(きゆうほうこく)

  2. 枕直しの儀

  3. 納棺の儀



 

神葬祭(1)帰幽報告(きゆうほうこく)とは?



訃報を聞いた後、

  • 神棚

  • 祖霊舎(それいしゃ)

に対して、故人の死を報告する儀式です。




ちなみに『祖霊舎』とは、先祖を祀る祭壇で、仏教における仏壇に相当するものです。




そして、先祖の霊が死者の穢れに触れないように、

  • 扉を閉じる

  • 前面に白い紙を貼る

以上を神棚・祖霊舎に行い、封をするのです。



 

神葬祭(1)枕直しの儀とは?



遺体を清め、北枕にして安置し、白い布で顔を覆います。

この際、地域によっては白小袖に着替えさせ、屏風を立てます。




次に、悪霊から死者を守るために『守り刀』を置きます。

これも地域によって違いがあり、

  • 枕元

  • 故人の胸の上

  • 祭壇となる小さな台の上

など様々ですが、『守り刀』を置く意味は同じです。




そして、小案(小さな台)を祭壇として2つ設けます。

一つの案には『守り刀』を。

もう一つの案には、故人が生前の好物や、米・塩・水・酒(生餞せいせん)を乗せます。




これにも地域差、風習があり、茨城県水戸市近郊では、

  • 献米(けんまい)

ができるように献米台を設け、お線香のように故人に対して献米をしてもらいます。



 

神葬祭(1)納棺の儀とは?



遺体を清め、白小袖などに着替えさせ、棺の中に安置します。

地域によっては、白小袖などに着替えさせず、棺に納めた後、白い布を掛けるだけのこともあります。




そして棺のふたを閉めた後、

  • 白い布で覆う

  • しめ縄と紙垂(しで)をめぐらせ、棺の周りを装飾

など、地域ごとの風習があります。



 

神道の神葬祭の流れ(2)神葬祭1日目の流れ



『神葬祭』の1日目には、『通夜祭』が行われます。

仏式で『通夜』にあたる儀式です。




この『神葬祭』の1日目は、

  • 通夜祭

  • 遷霊祭(せんれい)

に分けることができます。



 

神葬祭(2)通夜祭とは?



通夜祭』が始まると、神職の人と雅楽を演奏する人が式場に入場します。

そして神職が、

  • 祭詞(さいし)

  • 祭文(さいもん)

を唱えます。




祭詞や祭文は、故人の安らかな眠りを祈り、子孫の家の守護者として、家を守ることを願う言葉だと考えて下さい。




次に、玉串』を奉奠し、拝礼を行います。



 

神葬祭(2)遷霊祭とは?



『通夜祭』の次に、『遷霊祭(せんれいさい)』を行います。




『遷霊祭』は、故人の魂を遺体から抜く儀式です。




神職が故人の遺体から魂を抜き、故人の霊を

  • 霊璽(れいじ)

に移します。

そして、遺体は魂のない亡骸になると考えられています。




なお、『遷霊祭』の時は一時、式場の電気や明かりは消されます。



 

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神道の神葬祭の流れ1日目・式次第



『神葬祭』1日目の流れが分かった所で、簡単に式次第を紹介しましょう。

なお、式次第の順番は地域差があり、茨城県水戸市近郊の式次第を参考に説明させて頂きます。




  1. 神職入場

  2. 開式

  3. 修祓(しゅばつ)

  4. 斉主一拝

  5. 開扉(かいひ)

  6. 遷霊祭詞奏上

  7. 献灯(けんとう)、献饌(けんせん)

  8. 通夜祭詞奏上

  9. 玉串奉奠

  10. 撤饌(てっせん)、撤灯(てっとう)

  11. 閉扉(へいひ)

  12. 斉主一拝

  13. 神職退下

  14. お礼の挨拶

  15. 閉式



なお、式中に司会から、

  • 拝礼、一拝

  • 低頭(ていとう)

といったアナウンスが入ります。

これは両方ともをして頭を下げる行為です。




拝礼』と『低頭』の違いは、

  • 拝礼 ⇨ 一礼をする

  • 低頭 ⇨ 一礼をし、そのまま合図があるまで頭を下げ続ける

以上のようになります。



 

神道の神葬祭の流れ(3)神葬祭2日目の流れ



『神葬祭』の2日目には、『葬場祭』が行われます。

仏式で『葬儀』、『告別式』にあたる儀式です。




この『神葬祭』の2日目は、

  • 葬場祭

  • 火葬祭

  • 埋葬祭

  • 帰家祭

に分けることができます。



 

神葬祭(3)葬場祭とは?



葬場祭』は、仏式の葬儀・告別式にあたる儀式です。




大まかな式の流れは『通夜祭』と同じですが、

  • 弔事奉読

  • 祝詞奏上(のりと)

などが行われ、すべてが終わると火葬のため、火葬場に出棺します。




『葬場祭』の流れや式次第は、先程解説した『通夜祭』の式次第を参考にして下さい。




ちなみに祝詞(のりと)』とは、神職が神様に奏上する言葉です。

内容は、御神徳に対する称辞(たたえごと)を奏し、新たな恩頼(みたまのふゆ)を祈願するというのが一般的です。



 

神葬祭(3)火葬祭とは?



『葬場祭』を終えた後、火葬場にて『火葬祭』を行います。




『火葬祭』では、神職が祭詞を奏上し、参列者が玉串を捧げます。

そして『火葬祭』が終わると、遺体を火葬します。



 

神葬祭(3)埋葬祭とは?



埋葬祭』は、お墓に遺骨を埋葬する儀式です。




地域や風習によって異なりますが、

  • 火葬当日

  • 五十日祭

上記を目安に埋葬することが多く、お墓に納骨するときに『埋葬祭』を行います。



 

神葬祭(3)帰家祭とは?



火葬や埋葬など、全てのお葬式の日程を終えた後、『帰家祭(きかさい)』を行います。




まず、自宅に帰ったら、手水で身を清めます。

その後、葬儀の終了を先祖に報告することが、『帰家祭』の目的です。




そして、祓除の儀を済ませた後、神職や関係者をねぎらうために、

  • 直会(なおらい)

という宴を振る舞います。




『直会』は、仏式の『忌中払い』と考えると、多少イメージが沸きやすいでしょう。




以上で、神道の葬儀の全てが終わりとなります。

神棚の封は、没日から50日目に封印を解くため、白い紙を外します。



 

まとめ



今回は、神式(神道、神社)の葬儀の内容や、仏式との違い、参列した際の注意点など、神道の葬儀について紹介しました。




神道の葬儀『神葬祭』に参列する機会は、それほど多くありません。

そして、『神葬祭』の作法には決まり事も多く、仏式の葬儀とは大きく異なるため、参列した際に戸惑うことでしょう。




基本的に気を付けなければならないポイントは、

  • 献米、玉串奉奠

  • 二礼、二拍手、一礼

  • 香典 ⇨ 御玉串料、御神前、御神饌料

以上の3点を押さえておけば、神道の葬儀マナーに大きく外れることはありません。

特に、仏式の作法である『合掌』を避け、数珠は持って行かないようにして下さい。




最後に、どんな宗教・宗派であったとしても、故人の信仰を尊重し、敬意を表した見送りをしてあげて下さい。



 

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