大切な人が亡くなり、故人を『安置』した後、一番最初に準備するのが、
枕飾り
になります。
しかし住宅事情などもあり、自宅での『安置』が減少しているため、『枕飾り』を準備する機会も減り、どうすれば良いのか分からない方も多いものです。
また、『枕飾り』は主に仏式(仏教)が知られ、仏式以外の宗教・宗旨の『枕飾り』は、あまり知られていません。
そこでこの記事では、『枕飾り』セットの置き方や内容、宗教・宗旨ごとの『枕飾り』、いつまで『枕飾り』を設置するのか等、『枕飾り』について紹介していきます。
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枕飾りとは|枕飾りセットの置き方や宗教・宗派ごとの内容、いつまで枕飾りを置くのか
『枕飾り』とは、故人が亡くなってから、『通夜』『葬儀』までの間、
故人の枕元に置かれる供え物の総称
を言います。
また、『枕飾り』は『仮祭壇』と呼ばれる事もあり、『通夜』が始まる前に弔問してくれる方達のため、手を合わせられる祭壇としての意味合いもあります。
『枕飾り』の意味としては、故人の魂が迷うことなくあの世へと旅立ち、無事成仏できるように願って準備します。
そして、体から離れたばかりの魂が、この世にすがり、取り憑くことを防ぐため、魂を供養する役目を持っているのです。
現在では、ほとんどの方が葬儀社に依頼するため、『安置』と同時に『枕飾り』を準備してくれるため、特段自分達で事前に用意しなくても問題はないでしょう。
枕飾りセットの内容【仏式】
『枕飾り』は、枕元に置かれる供え物の総称です。
また、宗教・宗旨・宗派や地域によっての違いがありますが、一般的な『枕飾り』セットの内容があります。
そこで、日本の8割以上の葬儀が仏式のため、代表的な仏式の『枕飾り』を紹介します。
まず、『枕飾り』の道具を置く為、
白木を使った台
小さなテーブルに白い布を掛けた物
を用意します。
『枕飾り』は故人の枕元に供える物のため、大きな物は使用せず、
畳半畳程度
のサイズを使用します。
そして、白木の台の上に置いていく『枕飾り』の道具は、以下の通りです。
鈴(りん)
三具足(みつぐそく)
枕飯
守り刀
枕飾りセットの内容【1】鈴(りん)
まず『鈴(りん)』です。
真鍮(しんちゅう)製でお椀型、鳴らすと音が鳴るものです。
よく仏壇などで見かけるため、『鈴』の物自体は分かるのでないでしょうか。
『鈴』を鳴らすための棒(りん棒)とセットになっています。
『鈴』の下には、紫や赤、金色などの座布団がひかれています。
枕飾りセットの内容【2】三具足(みつぐそく)
『枕飾り』には、『三具足(みつぐそく)』と呼ばれる、
香炉
燭台(しょくだい)
花立
を置きます。
また地域によっては、
香炉×1
燭台×2
花立×2
で、五具足(いつぐそく)で置く場合もあります。
まず『香炉』は、線香を立てる物です。
基本的には、『香炉』の中央に線香を1本立てることが多く、線香立てを一緒に置いておきます。
次に『燭台(しょくだい)』は、ロウソクを立てるための台です。
ロウソクの火は絶やさないようにするべきと言われていますが、近年では火事の危険性があるため、使用時のみ火をともしたり、電気式を用いることも増えています。
最後に『花立て』は、花を飾る為の花瓶などを指します。
昔は葬儀の関係上、白など控えめな色の花を用意していました。
ですが近年では、故人の好みなどを踏まえて花を選ぶ方も増えています。
枕飾りセットの内容【3】枕飯
鈴
三具足
といった、お参り道具の『枕飾り』とは別に、故人に対して供える、
枕飯
という供え物があります。
一般的には、
一膳飯
枕団子
水
お茶
などを備えますが、地域によっての違いもあるため、事前に確認しておきましょう。
枕飾りセットの内容【4】守り刀
『枕飾り』ではありませんが、
守り刀
を故人の掛け布団の上に置きます。
『守り刀』の意味としては、遺体への邪気払い、厄災払いになります。
短刀
カミソリ
ハサミ
鎌
鉈(ナタ)
などの刃物を多くことが多く、地域によってはホウキや熊手を置いたりもします。
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浄土真宗の枕飾りの違いについて
仏式(仏教)の『枕飾り』を説明しましたが、
浄土真宗
という宗派は、『枕飾り』の考え方が異なります。
浄土真宗の教えでは、
人が亡くなると同時に極楽浄土へ
という考え方で、亡くなった方はすでに仏様になります。
そのため、
枕飯(飲食物)
守り刀
を供える必要がありません。
ですが、決して備えてはいけないという訳ではなく、
仏飯(ぶっぱん)
という形で、仏様にお供えをする考えもあり、地域によって異なるでしょう。
神道やキリスト教の枕飾り
仏式の『枕飾り』を説明した所で、
神道(神社)
キリスト教
といった、宗教別の『枕飾り』も紹介しておきます。
宗教別の枕飾り|神道の場合
まず、『神道(神社)』の『枕飾り』です。
『神道』では、
八足(はっそく)机という白木の台
が使われ、文字通り8本の足がついた机を使用します。
この八足机の上に、
三方(さんぽう)
という、神様に神饌物(しんせんぶつ)という供え物を置く為の台を置き、
水
塩
洗った米
御神酒(おみき)
を供えます。
そして『三方』の両横に『燭台』を置き、ロウソクを立てます。
更に、花瓶も2つ用意して、
榊(さかき)
を手向けます。
また、仏式の線香の意味合いで、
献米(けんまい)
という、洗った米を枡に移して、お参りを行います。
上記が『神道』の『枕飾り』となりますが、地域によっては神仏混合として、仏式の『枕飾り』を使用し、『献米』のみ行うこともあります。
宗教別の枕飾り|キリスト教の場合
続いて、キリスト教の『枕飾り』です。
本来キリスト教には、『枕飾り』という習慣はありません。
ですが日本においては、臨終直後に行われる儀式に使用するものを、『枕飾り』として置くことが多くなっています。
まず台の上に、白もしくは黒の布を掛け、供え物を置きます。
そして、中央に聖書、向かって左側に十字架を置きます。
右側には、キリストの肉を表すパンを置き、その横には水やワインを供えます。
また、他の宗教と同じく、
燭台
花瓶
を置き、花は白い花を手向けます。
次に、『終油(しゅうゆ)の秘跡(ひせき)』として
香油(聖油)
の入った入れ物を置きます。
この香油は、罪が許されるようにと祈りを込め、臨終の際に神父が故人の顔に塗ります。
ここで一つ注意点があります。
それは、香油を置くのは、
カトリックのみ
で、プロテスタントは置きません。
いつまで枕飾りを置いておくのか
さて、一通り『枕飾り』の説明が終わった所で、『枕飾り』を設置しておくタイミングも紹介しておきます。
『枕飾り』は、故人を『安置』した時に設置します。
そして、
通夜
葬儀
まで設置して片付けます。
そして、
通夜、葬儀 ⇨ 本祭壇
火葬後 ⇨ 後飾り祭壇
が設置されるため、『枕飾り』の設置期間は短いものです。
まとめ
今回は、『枕飾り』セットの置き方や内容、宗教・宗旨ごとの『枕飾り』、いつまで『枕飾り』を設置するのか等、『枕飾り』について紹介しました。
故人の枕元に供える物の総称を『枕飾り』と言います。
この『枕飾り』は、
弔問の方に手を合わせる場所
故人が無事成仏できるよう
などの願いや意味を込めて準備します。
『枕飾り』は『通夜』までや、『一日葬』の場合は『葬儀』までの短い期間しか設置しません。
更に、住宅事情もあり、自宅安置が減少している現在、『枕飾り』自体を知らない方が多いものです。
基本的には、葬儀社のスタッフが全て用意してくれるため、特に心配する必要はありませんが、故人の供養の一つとして、『枕飾り』の意味は理解しておきたいものです。
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